私を育ててくれたシステムたち その4

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このシリーズはソリットコンサルティング代表吉岡大介が
今までのキャリアで携わってきたシステムたちと、その開発を
通して吉岡大介が成長する様を記した実話に基づくものがたりである
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※期間
1999年4月~1999年6月

※システム名
社内SE実績管理システム

※規模・構成
SE・PG2名(同期) WindowsNT Microsoft Excel

※ポジション
新人2人で要件定義から保守まで

ある日、同期のH君と上司に呼ばれた。話によると上のフロアに居るコンピューター営業のボスの〇〇次長が全国の支店の営業実績を集計するのが面倒でなんとかならんか?といってきたので話を聞いてこいとのこと。上司はニコニコ(正確にはニヤニヤ)して、「要件定義の真髄がわかるから!」というので、H君とわけも分からず〇〇次長のところへ。「おー来たか!すわれや。」そこに現れたのはラグビーでもやってたのですか?と思わず聞きたくなる体格の、ダブルのスーツに身を包んだ、浅黒く短髪の〇クザ、失礼、次長さん。

話を要約するまでもないが、そのままを伝えると「なんか今のはダラーとしててカッタルイから、ピッとボタン押したらピューとなってスラスラッと数字が出るやつにしてくれよ!細かいことはこの〇〇さんがよーく知ってるから。できたら言ってくれよ!」以上。

あまりのことに口をあけたままH君と顔を見合わせていると、スラッしたドキッとするほど美人な〇〇さんが、「分からないことあったら聞いてネ」と。アメとムチだったとしてもあまりの落差にそれぞれを認識することができず、状況を咀嚼する暇もなく、二つ返事で頷きながら自席に戻る。我に返ってフラフラと依頼をした上司のところへいき、「ピッとかピューとか言われました」と報告すると、「どうだ?これがこなせたら大概の客なんかチョロいもんだろ?ヨカッタな!」とのこと。

あとからもう一度、美人アシスタントさんのところへ聞きに行くと、どうやらWAN越えで同じエクセルを触ってるから重くて競合して(Office97とかでしたから)、これまた血の気の多い支店では敵なしのマネージャーさんだから苦情が多くてネ、ということらしい。今思えばコンピューター営業のトップセールスマンでしょうに。。。と思うが、H君と相談した結果、無理にWebアプリ化するとエクセルの操作性がなくなり、かえってマネージャーを怒らせるとの結論に至り、マクロやリンクを駆使したエクセルそのままでの再構築を決めた。

当時WAN越えは高価な上に遅くて脆弱だったので業務システムの支店間通信は上級SEの先輩たちも転送データのスリム化に気を使った時代、H君とのLAN環境でしか試せず、そもそもWANがそんなに使えないことも知らない新人で、直接の窓口となる美人アシスタントさんはクレーム対応に追われたことだろう。「ちょっと遅いっていうのよネ」などと控えめなアドバイスと悲しげに目を落とす姿に心を打たれ、1行ずつの処理をエクセルマクロの得意技である範囲選択による一括処理に変換したり、高速化をはかったところ、どうやら使い物になったらしい。

が、悲しいことに美人アシスタントさんは諸事情で窓口を離れ、日本全国のマネージャーが一斉にこの新人の座る席の目の前の電話に直接連絡を入れるようになった。「あのさ、吉岡、係長?いるかな?」きっと次長さんが、吉岡ってやつがズバッと解決してくれるからジャンジャン電話しろ、とか言ったに違いない(もちろん係長ではないが、雰囲気的にそんなストーリーができあがっていたのだろう。トップセールスマンはストーリー立てるのが芸術的にうまい。。。)

「なんかうまく送れないケド、次長に数字おかしいって怒られたじゃん?どうするよ?オレの数字で営業達のインセンティブ決まるんだよね~。コマッタよね?(^_^)」こんな新人小僧SEに営業テク全開で上げたり落としたり、なだめすかし。ウッセー使い方間違ってるし!などと反撃するいとまも与えず、ハイハイ、スイマセンというしか手の打ちようがない。

結局仕組みとしては立派に運用に乗ったらしく、その後問合せ電話は収束に向かう。その後どうなったのかは知らないが、例の直属の上司がタイミングを見計らって上のフロアの誰かに引き取らせたのかもしれない。

マクロの技術は向上したかもしれないが、それ以上に営業マネージャーに名前を覚えてもらったことの方が大きい。トラブル案件専門の部署だからその後全国に行くことも、全国から集まってくることもあったが、「あんときの吉岡君かぁ」というシーンもかすかに覚えている。トラブルには営業さんがつきものだが、その見事な修羅場を収める能力には目を見張るものがある。機会を与えてくれた直属の上司、ピュー次長(すいません(^_^;))、マネージャーたち、美人アシスタントさん、当時は振り返る余裕もなく、無事ですんだ、もうまっぴらゴメンだわ、などと思っていたが、全ての人にその人なりのやり方で育ててもらった気がする。

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