私を育ててくれたシステムたち その8

—————————————————————————
このシリーズはソリットコンサルティング代表吉岡大介が
今までのキャリアで携わってきたシステムたちと、その開発を
通して吉岡大介が成長する様を記した実話に基づくものがたりである
—————————————————————————

※期間   2000年6月~2001年4月

※システム名  バイク便向け配送管理システム

※規模・構成  SE3名 WindowsNT Oracle8.0.5 Visual Basic, ASP

※ポジション  受注支援SEとして営業同行、または拠点SEのサポート

上のフロアのコンピューター営業の、関西弁の軽やかな次長さんから、大阪でバイク便向けに作ったシステムを東京でも売りたいのでサポートしてくれと話があったようで、私に聞いて来いと上司から指示があった。思い返せば社内のそういう話はなんかよく振られた気がする。きっと変なことしても社内だから安全、とかそういう理由だったのだろう。

大手2、3社しか名前が出てこなかったが、バイク便をやってるところはたくさんあった。バイク好き仲間とかで始めるのだろうか、ライダーも10名前後、社員5名未満の零細なところがほとんどだ。次長さんに同行して、相手の社長さんと一緒になってホーホーと聞いてるだけだったが、この次長さんの話がためになった。業界の抱える課題を良く知っており、やすやすと相手の懐に入り込む。当たり前だが私は次長さんの小道具であって、ときどきシステム観点で「そうやんなぁ?」と聞かれれば「ハイ!」と答えるのみ。私もそのうち小芝居を打ってる感覚で合いの手を入れたりなど楽しんでいたが、次長さんはいつの間にかしっかり契約を取ってきた。

たいていは予算の関係で小規模なカスタマイズにとどまったが、比較的大きなところから業務改善をしたいとの案件が決まったが、ここのバイク便さんは印象深い。業界の通例として、注文をオペレータから聞いて、大きな地図とにらめっこし、ライダーを効率的に配備する「配車係」という役職がある。ライダーは通常歩合制で配車係に嫌われれば仕事を回してもらえないので、配車係は絶大な権力を手にする一方で、時間勝負の世界で道路事情やライダーの性格を熟知して即座に判断する重責も負っている。

この会社の課題は以下の2点だった。1つは熟練の配車係がいるとはいえ、そこは人間なので注文が増えても質を落とさず配車できるのか。もう1点は、ライダーから荷受け・荷降ろし場所、受取人の名前の確認のため会社に連絡が多く効率が悪い。

当時出たばかりのi-modeを使うことを決めていたが、住所の地図表示は、画面もまだ狭く通信速度も遅かった当時は逆に効率を下げる。このとき、ふと自分の注文だけでなく未配車の受注も見せてライダーが自分で仕事を取れるようにしたらどうか?との考えがひらめいた。GPSでリアルに位置捕捉などしてない時代、現場のことはライダーが一番よく知っている。うまくいけば配車係そのものが不要になると思った。

i-mode向けアプリ開発はASPを使ったが、面白そうなので自分でコードを書いた。ライダーの電話代を支給していたその会社は通信費がバカにならないとのことで、通信料を計算するツールを使って文字を限界まで削ったら経理担当の方から月何千円も安くなったよ!と教えてもらって驚いた。

スマホ全盛の今はどうなっているか知らない。しかし担当を外れた後も、たまに街中で携帯とにらめっこしている件の会社のコスチューム姿のライダーを見ると嬉しくなったものだ。

さて、関西弁の次長さんだが、その後いろいろとかわいがってもらった。トラブルで地方に出張した時のグチには「後から来たSEはゼロから始めて信頼を積み重ねるだけだから実はおいしいんやで」と励ましてもらった。また友達の勤める旅行会社が厳しくなった時に転職の相談に乗ってもらったりした。当時あまり心が開かれてなかった(笑)私は、そのノリの良いオープンな振る舞いに困惑と憧れを感じていたような気がする。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする